赤いエスプレッソをのせて




人を心配したことが、あまりない。

それは、私が心配されることがあまりなかったからだ。

中学の時に髪を切られた事件だってそうだ、みんな、大丈夫? なんて言葉をかけてはくれなかった。

ただことのあらましを、誰がどうしたたっていうところばかりを追求してきて、心配もしてくれなかった。

だから、他人がどんなに深刻そうな顔をしていても、それで? と私は訊ねてしまう。

そこで相手が事情を説明したにしても、だからどうしたんだっていう感情しか湧かない……

だから、『それで?』という言葉が口癖になってしまってるんだと、なんとなくわかる。

こんな私も、言うなれば『Self-compalcency』――独り善がりなのかもしれない。

でも今、私は心配されていた。人に。

「しっかりしてくれ……頼むから、しっかり、してくれ……!」

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