赤いエスプレッソをのせて
(アンタは私のなにで……私はアンタのなんなのかしらね……?)

仰向けの私の前に、千代が浮かぶ。

まるで私を小さく幼くしたようなその姿に、嫌悪感さえ時々覚える。

が、今は、……ない。

どんなに普段それらしく言葉を交わしていても、私にとってコイツは、生きていた時はもちろん、死んでからもただの邪魔者でしかない。

彼女さえいなければと思ったのも、一度や二度じゃない。

千代は私の、どこまでもいつまでもついて来る、壁だ。

なにをするにしても影響してくる、うざったい障壁。

(いつか、アンタがいなくなる日がくるのかしらねぇ?)

と思った端から、笑ってしまった。

(それとも、私のほうがいなくなるのかしらね)

夜が粛々更けていくのに、置いてきぼりを食らう。

こんな生活、望んでなんかいないのに。
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