赤いエスプレッソをのせて
すると山久は、よくぞ聞いてくれましたといわんばかりの笑顔で、

「いえね、男と一緒にいるとわかれば、誰もちょっかいは出さないと思ったんですよ。それは今後もという意味でね。だから少々強引でしたけどこうしてお邪魔したわけです。

ただ、今すぐ部屋を出ていったら怪しまれますし、仕方ないので、今日はここに泊めていただけワッ!? なにするんですか美代さん!?」

さて、最後の悲鳴はいったいなんなのでしょうか。

答えは簡単。食べかけだった弁当を力いっぱい投げつけてやったんだ。

だって、あんまりふざけたこと抜かすから……。

まあ、そんなことで結局山久と私は一晩同じ屋根の下で眠ったわけだ。

ロマンチックさの欠片もないし、私が寝ている間にちょでも妙なことをしたら、警察に通報するという条件つきでだ。

ちなみに、私が投げ散らかした弁当は山久に片付けさせたし、ついでだから鏡と流しを磨かせて、蛍光灯を買ってこさせて、溜まってたカップラーメンのごみを捨ててこさせた。

これくらい、普段デートに付き合ってやったお返しでしょ、紳士ならなんの苦でもないわ。
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