赤いエスプレッソをのせてのレビュー一覧
□レビュータイトル これほどまでに完成された作品でありながら、未完成に感じられてならない。 それは何故か? 流れるように深く、強く書きなぐられた情景描写と行間が、作者の思いを容赦なく読者へと叩きつけてくる。 しかしながらその思いは、いまだ作者自身を満たす事なく、それでいて未消化なのだと感じられてならない。 だからこそ そのエスプレッソはとても苦く そのオレンジジュースはとても甘い 受け入れるだけの覚悟を持ち得るなら、活目して見よ。
妹や周りの人間の存在が、愛や悲劇、またミステリアスな展開を上手く作りだし、惹き付けてくれました。 しかしその中心にいるはずの主人公。 (これは私がそう読んだという話ですが)彼女は結局のところ、周りのそういう人達や展開を通して、自分自身を見つめていただけじゃないのか? という気がして、しかしそのアンバランスさ(と言っていいのか)がまた味になっている。 そして最後に見た彼の姿が、余韻を与えてくれること一入です。 贅沢をいうと、これも感性の問題かもしれませが、中盤から終盤にかけて。 「妹の存在」これをもう少し介入させてほしかったかなと。 序盤と比べて、物語の厚みにどうも隔たりがあるような気がするのです。 あとどうしても残念なのが、誤字の多さです。 見つけてしまう度に気が抜けてしまいますので。
不思議と言えばいいのでしょうか。 現実離れした主人公の肩に乗っかるもの、彼の髪の色はあまり見た事のない色だったり。 しかし恋愛部分や主人公の感覚(孤独感)などはやけにリアルに感じ、現実と非現実を行ったりきたり。 彼が最後に選んだ色に納得がいかず、もう一度読み直してみたり。 読み直しても『うーん』な私は、彼にも作者にも踊らされている気がする。 いや、主人公に感情移入し過ぎてしまったんでしょうね。主人公の気持ちがこれでもかってほど書いてありますから。 主人公になるしかなかった。 それぞれの読み方があるだろう不思議な物語。私はこんな読み方でした。
著者さんの言っていた言葉 「これが代表作ですから」 渾身の一作だと、自ら言える作品って実はそうは書けないのかもしれない だけども、この作品はそう言われてしかるべきクオリティを持っていると思う 現段階においては だって。 ぐれさん、すぐに進化してこう言うだろうからね 「あれはあの時の精一杯でしたから」 その言葉を確かめるために、今、これを読むべきでしょ?