大嫌いな幼なじみと再会した場合。
数日後、授業中に佐倉くんが当てられ、
私は深雪がカッコいいと言っていたことを思いだした。
当てられた問題を苦労しながらも解いていて、なんだかかわいいと思った。
なんでも楽々とこなす葵とは違う。
こんな風に時々葵のことを思い出してしまう。
8年分のクセはなかなか消えない。
思い出す度、私は忘れろ忘れろと自分の脳に命じた。
そんなある日--
「篠岡。ちょっと時間ある?」
「え…はい……」
放課後、突然佐倉くんが話しかけてきた。
今まで一度も話したことないのに…。
見送る深雪がニヤニヤしていて、私はもしかしてって気持ちがからだの奥から沸き上がるのを感じた。
季節は5月だった。