大嫌いな幼なじみと再会した場合。




「こけんなよ」

「分かってますー」


岩場に着き、不安定な足場を慎重に歩く。



「あ、人いる。」



数十メートル先に男の人のグループが見えた。

どうやらここの岩場は深雪パパの持ち物ではないらしい。




「ねぇ、あそこにある洞窟に…って!何!?なんで脱いで……!」


真田が上に羽織っていたパーカーを脱ぎ始めた。



まさか……

こんなゴツゴツしたところで……!!



私がパニクっているのとは対照的に、

冷静な顔で私の頭にパーカーをかぶせた。




「へ…」


「なに考えてんの。

それ着とけ。」


あ、そういうことか……


「ありがと。でも、なんで急に?」


「ほっとけ。」



葵は私から顔を背けて、

洞窟の方に歩く方向を変えた。







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