大嫌いな幼なじみと再会した場合。
「……あんた、バカだね。」
「なっ…!」
ホント、バカ。
言え、バカ。
あの日、卒業式の日
言ってほしかったな。
あ、でも葵が何か言い切る前に私、逃げたんだった……。
「言っとくけど!
今のお前のことは少しも好きじゃねーから。」
「っ!
分かってる!それ前にも聞いたし!
私だってあんたのことなんか、だいっ嫌いだから!!」
結局自分のせいじゃん。
逃げてばっか。
ムキになって、思ってもないこと言って、
また勝手に傷ついてる。
知ってたはずなのに。
頭では分かってたはずなのに、どっかで期待してたんだな。
バカなのは……
私。
「もう戻ろーぜ。」
「うん。」
「あ、名前呼び。忘れんなよ。」
「っ…………」
葵はズルい。
最後に全部全部持ってく。
「"葵"なんか……キライ……」
「ハイハイ。」
ちょっと嬉しそうに笑ってるのだって、きっと私の勘違い。
でももう葵に全部持っていかれた私は
また
嬉しくて泣きそうになるの。
大嫌いな幼なじみと再会した場合⑦
もっかい名前で呼べるようになる。