大嫌いな幼なじみと再会した場合。
恵麻は慣れればかなり気さくなやつだったし、男に負けないくらい活発だった。
俺たちと仲良くなったあとはすぐに女の友達もできた。
状況が変わったのは小学校4年生の時。
「なぁ、篠岡って可愛くね?」
「あ、俺もそれ思った!」
周りが色恋に興味を持ち始めて、クラスで一番可愛かった恵麻はすぐに男子から人気が出た。
その頃、俺は自分の恋心に気づいた。
周りのやつらに取られるのがたまらなく嫌だったけど、
恵麻が俺のことだけ『葵』と呼ぶのに安心していた。
ま、ただの幼なじみ、ってだけだけど。