大嫌いな幼なじみと再会した場合。
「大嫌いなんて言ってごめんね。」
「別にいい。」
「触んないでって振り払ったこともあった。」
「気にしてない。」
「好きになってくれて…ありがとう。」
「ああ…」
そのあと、私たちはもう一度唇を重ねた。
でも約束通り葵はそのキスを最後に私に触れてこなかった。
大切にされているのが痛いほどよく分かる。
葵の気持ちが私の体全体に染みていくみたいだ。
葵と少し離した布団のなかで
私はひそかに泣いていた。
星が西に沈んでいくのと同時に
私の涙も落ちていった。
大嫌いな幼なじみと再会した場合⑬
葵は割と約束を守る。