大嫌いな幼なじみと再会した場合。
その3分ほど後、
私は歩き続けていた足を止めた。
「え…あれって……」
見えたのは、脇の坂に生える木の枝に引っかかっている携帯電話。
あれって深雪と同じ機種だ。
遠目だからハッキリとは言えないけど、カバーも深雪の猫柄のカバーに似ている。
ウソ……でしょ…
「深雪!!」
返事がない。
霧が出ていて、あまり下は見えない。
でも人が落ちても死なない程度の高さのところに平らな道があるのはなんとか見えた。
とりあえず携帯電話だけでも確認しよう。
私は必死に木の枝に手を伸ばした。
「あとちょっと……」
ほんの少し身を乗り出したとき、
「きゃっっ」
私の記憶は途絶えた。