大嫌いな幼なじみと再会した場合。
「私、こんなんじゃビビんないから。
大声出すよ。」
「…………」
私を見下す葵の瞳には怒りが灯っていた。
「なに不機嫌になってんの。」
不機嫌になりたいのはこっちだっつーの。
「俺とのキスが最後なんて死んでも嫌。だっけ?」
「そうだよ。世界中の人がみんな真田のこと好きだなんて慢心しないでよね。」
「別に他のやつらなんてどーでもいい。」
なにそれ…。
それじゃあまるで……
私は頭によぎった変な期待をすぐさまリセットした。
「もっかいキスしてやろーか。」
「ハ……」
「死ぬほど嫌なら死ね。」
「ちょっ……!」
葵の顔が少しずつ近づいてきて、私は力一杯葵を押し返した。