夜ー闇に隠された瞳の奥ー
暴力を振るっても、毎日家に帰ってきた兄がある日、パタンと家に帰って来なくなった。
そしてそんなある日、家に電話が来たんだ。
兄は、バイクに乗っていて転んで死んだ。
と。
流石にその時のことは鮮明に覚えている。
母が泣き崩れ、父は呆然とするばかり。
病院に行き兄の死を目の当たりにした日から、
優しくて笑顔が絶えなかった母はロボットのように働き始め、
芯の通った父は家に帰ってこないことが多くなった。