夜ー闇に隠された瞳の奥ー
「はっ?」
「なぜ、でしょう。」
「………ぐ〜」
「………ふっ」
みんなが一斉に私を見る。
そこで1人の馬鹿が、
「あ!名前知らないから?自己紹介まだだったもんねぇ!」
と馬鹿なことを言い出した。
「俺は青山 龍太ーAoyama Ryutaー!夜の幹部だっ!よろしくな。」
まぁ、覚えておくか。
赤髪が、龍太。
「俺は木並 直気ーKinami Naokiーです。副総長です。」
青髪が、直気。
「………川中…治矢ーKawanaka Haruyaー…幹部だよ。」
いつも寝てる、金髪が、治矢ね。
「俺は南条 夏ーNanzyou Natuーだ。総長。」
黒髪が、夏。
よし、覚えた。
「お前は?」
龍太が言う。
まぁ、教えてくれたし。
ここは礼儀だよね。
「………上原みずな」
「女みてぇな名前だな!顔も女みてぇ!」
「確かに、言われてみればそんな気もしますね。」
龍太が余計なこと言うから!
みんなジロジロ見るじゃんか!
「………俺は男だ。」
私はそう言ってみんなを睨んだ。
「………仲間になれ」
まだ言うか!
夏め。
それしか言うことないのかよ。
「………無理だって、言ってんだろ。」
「なんでだ。どっかの族入ってんのか?」
「入ってねぇよ」
「じゃあ入れ。」
「やだね。あんたらと知り合いにもなりたくなければ仲間にもなりたくないね。」
私がそう言うとみんな黙った。
そんな時、無機質なアラームの音が鳴った。
「だれ?…俺じゃねぇよ。」
「俺でもありません。」
「…携帯倉庫に忘れた。」
「俺でもねぇ。」
「……俺か?」
私だったとは。
私は携帯を取り出した。
…誠じゃん。
「はい。」
『あ、出た。』
「なに?」
『今正門にいる』
はぁ?
正門を見ると確かに誠の姿が。
「んで、何?」
まぁだいたいわかったけど。
『降りてこい。今日は…』
そうだ、今日はあの子の……。
「わかった。今行く。」
あの子の、命日。
私は電話を切ると夜のみんなを見渡す。そして
「俺に、近づかない方がいいですよ?夜のミナサン?」
といい、屋上のフェンスに足をかける。
「え、死ぬよ!?」
死ぬ、ねぇ。
龍太がそんなことを言ってるけど無視無視。
私は屋上から飛び降りた。
ダン!
着地成功。
でも、やっぱ痛ぇな。
正門のほうに歩いて行くと、誠が。
「行くぞ」
「ん。」
そう言って、停めてあった車に乗り込む。
「あ、流。」
流が運転する車だった。
そっか、家も案内してもらわなきゃだしね。
「おかえり、みずな。誠。」
流がそう言って、車を発進させた。
あの子の、お墓へ。