夜ー闇に隠された瞳の奥ー
「バカか」
「わっ」
夏に頭をぐいっと掴まれた。
カツラ取れる。
パチ…
取れた。
「何。」
私は落ちてしまったカツラを拾うためにしゃがむ。
すると夏もしゃがんで来た。
「バカか、てめぇは。窓の側行ったら女にバレるだろ」
夏はそう言って私のカツラを取り、机に座った。
「私のカツラだよ。被る?」
「かぶんねぇよ。こんなの被ってて邪魔じゃねぇの」
「邪魔だよ」
邪魔に決まってる。こんなモサいカツラ。
「なんで被んだ」
なんで?
難しい質問だな。
異質だから、とは言いたくない。