夜ー闇に隠された瞳の奥ー




「バカか」



「わっ」



夏に頭をぐいっと掴まれた。



カツラ取れる。



パチ…


取れた。



「何。」



私は落ちてしまったカツラを拾うためにしゃがむ。



すると夏もしゃがんで来た。




「バカか、てめぇは。窓の側行ったら女にバレるだろ」



夏はそう言って私のカツラを取り、机に座った。



「私のカツラだよ。被る?」


「かぶんねぇよ。こんなの被ってて邪魔じゃねぇの」



「邪魔だよ」



邪魔に決まってる。こんなモサいカツラ。





「なんで被んだ」




なんで?


難しい質問だな。



異質だから、とは言いたくない。





< 254 / 587 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop