夜ー闇に隠された瞳の奥ー
赤
駐輪場につき、直気がバイクの準備をし始める。
その時だった。
ガッシャン!!
近くの道路から大きな音がした。
「なんだ?事故か?」
「さぁ」
私と直気は道路を除く。
「事故だね」
「みたいですね」
「信号無視ってとこか」
私はそう言って顔を引っ込める。
「…信号、無視。赤信号」
直気はそう言いながら動こうとしない。
なんだ?
「大丈夫か?」
私は直気の肩に手を置く。
……震えてる。
「直気」
だめだ。
「直気」
私は少し大きな声で直気を呼ぶ。
気づかねぇ。
「直気」
もっと大きな声で呼ぶ。
「…!みずな。すいません、ぼーっとしてました」
気がついたか。
「大丈夫か」
「…えぇ、まぁ。」
「嘘つけ。顔真っ青だぞ」
顔色悪過ぎだろ。
「あぁ。…ちょっと、はい」
口も回ってねぇし。
「……………赤を見ると、思い出すんです。」
直気はなにか決心したように話し始めた。
こいつも、抱えてんのか。