夜ー闇に隠された瞳の奥ー




翌日、朝起きると親父はリビングで新聞を読んでコーヒーを飲んで、いつも通りでした。





ホッとしました。





「おはよう」



「おー、直気!おはよう!」





うん、いつも通り。





ほら。



大丈夫。





「じゃあ行ってきます!」



「あ、ちょっとまて直気」





学校の支度が出来て、家を出るとき、親父に呼び止められました。







そこで言われた言葉が、俺を一気にどん底へ落とした気がしました。















「俺は、今日も帰ってこれない。先に寝てていいからな」









先ほどと何も変わらない笑顔で言った親父。





「な、なんで?」







俺は聞く。








「…ちょっと編集部に顔出すんだ。悪いな」







親父はそう言って俺の頭を無造作に撫でると、部屋の奥へ消えていった。








編集部………






俺は嘘だと思いました。




だって、まだ全然作家として花が咲いてない親父から編集部なんて言葉初めて聞きましたし、何より、昨夜の事がありましたからね。









それからも、そんな事が続きました。













その度、俺は作り物の笑顔でごまかしました。

















正直、限界に近かったですね。













ですがある日の休日、親父から言われたんです。










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