夜ー闇に隠された瞳の奥ー
「……みずなに?」
「あぁ。俺夜引退してから行くとこなくて。繁華街をブラブラしてたらお嬢に拾われたんだ」
菜月は懐かしそうに目を細めて言う。
あの頃のあいつは本当に、何もなかったな。
家庭環境も良くなかったみたいだし。
夜が全てって感じみたいだったし。
でも、今は………
「菜月さんにそんなことあったんですね!」
「バカ龍太?それだけ夜を大事にしてくれてたってことだろ」
「お前ら、元気みたいだな」
「ちょー元気っすよ!まぁ、治矢に言われたのが気にくわないっすけどね」
顔が生き生きしてる。
まぁ、それも夏たちのおかげか。
夏たちがいて、菜月がそれを見つけたから今があるのかもな。
きっと、夏たちが居なかったら今の菜月はここにいない。