夜ー闇に隠された瞳の奥ー
「みずな。泣くなよ」
そう言って来たのは誠だ。
「泣いてない」
「アホか。んな涙びーびーの顔で言われても説得力ねぇよ」
誠はそう言うと優しく微笑んで、私の頭を撫でて出て行った。
「………」
ツバサが来て、無言で私の前に立つ。
………なに?
無言の圧力ってやつが怖いんだけど。
「………っ、ごめん」
ツバサは突然そう言うと申し訳なさそうな顔をした。
「なんで?」
「俺の親父が……」
「気にするな。私はお前を責めたくてこの話をしたわけじゃない。それに、お前と父親は別人だ。」
「………っ、みずなぁぁぁ」
ツバサは急に私に泣きついてきた。
「みずなぁぁ。大好きだぁぁぁ」
私はぽんぽんとツバサの頭を撫でてやった。
暫くして泣き止むと、ツバサはぎゅっと強く抱きしめて静かに部屋を出て行った。
ったく。
デカイ子供だな。