夜ー闇に隠された瞳の奥ー
私はカバンから持ってきたカツラをつけた。
「カツラつけちゃうの?」
「…まぁ、一応男子校だしね」
「そっかー。…あ!昨日出たらしいね」
「あ、そういえばそうみたいですね」
なにが出たの?
おばけ?それとも雑誌の発売日だった?
「「華風」」
龍太と直気が同時に言う。
「見たかったなぁ。つか、会いたい」
「久しぶりに華風の話流れてきましたもんね」
え、私じゃん。
そんなに有名だったっけ?
「みずな知ってる?華風」
そりゃあ……
「…まぁ、名前くらいなら」
と誤魔化すしかない。
「華風はね、カツアゲとかいろんな悪いことしてる族とか組みとか潰したりしてるんだぜ!しかも一人で!かっこいいよな!でも、女とか女じゃないとか。謎だよなぁ。そんな謎な華風が、昨日出たらしいんだ!会いてぇ」
なるほど。
私にそんな噂がついていたとは。
ただ組の仕事してるだけなんだけどな。
「私たちは華風に助けてもらったんですよ」
直気の衝撃発言。
………私、助けたか?
つか会ったことあるのか?
「5年ほど前です。
俺たち4人は相当荒れていました。
そしてその日も夜、繁華街でそこらへんにいる奴らに喧嘩を売っている時、華風が現れたんです。
『最近見る顔だなぁ。ちょっとやりすぎだ。』
って声をかけられたんです。もちろん俺たちは華風がどんな人かわからず喧嘩をふっかけました。
もちろん秒殺。この人には敵わないっておもいました。
けれど華風は俺たちに手を差し出したんです。
『立て。そしてお前たちが進むべき道へ行け。そうすれば光は必ずついてくる』
と。俺たちは立ち上がった。そして進んだんです。
それから数日。当時、夜の総長だった人に拾われたんです。」
「…へぇ。」
…………はて、そんなことあったっけか?
うーん……………あ。
あったなぁ。やけに暴れてる4人組。
そうか、お前らだったのか。
成長したな。
それに比べて私は…………
あの時から何も成長していないな。