夜ー闇に隠された瞳の奥ー
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「……ん……」
目が覚めた部屋は、白だった。
白でよかった。
きっと黒だったら、………赤く、………………汚してしまいたくなるから。
「……起きたか」
誠?
私はむくりと起き上がる。
「……ここ、理事長室の中にある仮眠室」
理事長室にそんなのあんのかよ。
成さんワイルド。
あ、またカラコンしたまま寝た。
いてぇ。
私は痛む目尻を指先で押さえる。
「カラコン、外せばよかったか?」
「いや、大丈夫。何かあったら困るしな」
「みずな、起きたか?」
ドアの向こうから成さんの声がする。
「……あ、はい」
立ち上がろうとしたらめまいが来た。
誠が支えてくれたからなんとかなった。
「ありがとな」
誠から離れてドアに向かう。
ガチャ………
「みずな、無理はするなよ」
「はい。でも、私は大丈夫です。強い、ですから」
そう。
私は強い。
………………本当は、そう言い聞かせてるだけかもしれない。
「……お前は、弱いよ。心が完成していない」
成さんがなんて言ったかは聞き取れなかった。
「今日は本家に来なさい」
成さんはそう言って笑った。
「はい」
「誠。流呼んで、みずなと一緒にお前も今日は帰れ」
「わかりました」
誠は返事をすると流に連絡しに部屋を出て行った。
「さて。みずなも休めよ。」
「はい」
「無理だけはやめなさい。何かあったら言うんだよ。お前は一人じゃない」
心がぽかぽかした。
気がした。