私の仕事と結婚
「それはお疲れ様だったね。じゃあ、身体休めたいよね。」

考え込むような顔をして、首をかしげている典弘。

「どうしたの?」

「兄貴がさ、歩夢に会わせろって言ってるんだ。」

「それは…。」

「俺の恋人として。」

「えっ?」

「それともちろん面接も兼ねている。」

典弘は戸惑っている私を見つめて言った。

「まあ、そんな事全部忘れて、一回会ってみない?軽い気持ちで。今なら怪我してるから、兄貴も時間取りやすいし。」

「ねぇ、典弘。」

「何?」

「お兄さんの事務所を手伝うのは、決定なんだよね?」

「うん。来月いっぱいで会社を辞める。」

店長さんの持ってきたビールをぐっと飲み干す。
< 104 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop