私の仕事と結婚
「俺は歩夢を離さないから。」私は首を竦めるしかなかった。

典弘の部屋に入ると、私はキッチンへコーヒーを入れに行こうとした。

「歩夢?」

「コーヒー飲むでしょ?入れるよ。」

私の荷物を置いて、典弘が私の腕を掴む。

「もう、そんなのどうでも良いよ。」

私をふんわりと包み込む。

私達はしばらくそのまま抱き合っていた。

「安心する。」

思わず私はつぶやいた。

私が頭を典弘に預けると、私の頬に触る典弘の手。

やっぱり男の人の手は大きく、心地良い。

そのままどちらともなく唇を重ねる。

「店長さんに聞いた。典弘は受け身の人なの?」

「ん?」
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