私の仕事と結婚
「これではないのよ。もっとこう華やかなんだけど、派手じゃなくて…。」

今はリビングの壁紙を悩んでいるようだった。

「う~ん、このシリーズではどうですか?」

そう言って出した見本にまた施主さんも困った顔。

「そうじゃなくて…、照明の事もあるから…。」

施主夫婦と典弘のお兄さんはお互いに頭を抱えている。

「ねぇ、典弘。私出しゃばっても良い?」

私は中を指さす。

「歩夢、力貸してやって。」

典弘はそういうと、扉をノックした。

「失礼します。内装を専門にしているものを連れてきましたので、もう一度お話聞かせてもらって宜しいですか?」

典弘のお兄さんは、ちょっとびっくりしたような顔をしたが、私の顔を見るとホッとしたような顔に変わった。

「桜井歩夢と申します。一応インテリアの資格を持っております。名刺を切らしていまして申し訳ありません。」
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