私の仕事と結婚
「若い頃海外に長く住んでいて、インテリアを見て回るのが大好きだったの。仕事にしたいと思ったこともあったけど、私は洋服のスタイリストになったから。」

なるほど。

それならうなづける。

「桜井さんでしたよね?これからの打ち合わせにも同席して頂けないかしら? 家具選びも一緒にしてほしいわ。」

私は返事に困って、典弘のお兄さんを見た。

「実は彼女はここの人間ではないんです。今日は訳があって、たまたまここへ来てたんです。」

そしてにっこりとお兄さんは私を見るとうなづく。

「彼女の予定が合ったら、同席してもらうという事で良いですか?」

「いえ、私達が桜井さんの予定に合わせますので、よろしくお願いします。」

施主夫婦は満面の笑みで帰って行った。

3人で事務所の前で送り出す。

施主の車が見えなくなったところで、私はお兄さんの方を向いた。

「挨拶が遅くなった上に、生意気な事をしてしまってすいません。桜井歩夢と申します。典弘さんには大変お世話になっています。」
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