私の仕事と結婚
「美奈はいつもちゃんと考えているのね。それも松島君の為なんだよね?」

「…そうなるかな。」

顔を赤くして、カクテルを口にする。

年上の彼女なりの気遣いなんだろうな。

「彼氏と一緒に仕事をするって、案外気を使うものなのよ。でも歩夢みたいに結婚しちゃえば、その方が楽かもね。」

私はそんな事考えた事はなかったな。

確かに仕事で組んでいると、横山さんと付き合ってるんじゃないかと、何度となく会社でも施主さんにもよく疑われた。

その度に、横山さんとのらりくらりとかわしてきた。

まして美奈達みたいに、本当に付き合っていたら大変だろうな。

そういえば、典弘にもそんな風に疑われた事があったな。

「そうそう、早く結婚した方が良いよって歩夢に勧めてよ。」

典弘の声が頭の上から聞こえた。

「今晩は、野崎さん。お早いお着きですね。そんなに歩夢が心配ですか?」
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