私の仕事と結婚
その日の遅く、典弘から電話がかかってきた。

「歩夢、どうしてる?」

弱々しい声で恐る恐る聞いてくる。

久しぶりの典弘に声に胸がいっぱいになる。

「仕事してる…。」

緊張からかそんな答えしかできない。

「歩夢らしいな。」

典弘が微笑んだような気がした。

「もう話もしたくないぐらい、俺の事嫌い?」

かなり勇気を振り絞ったような声で聞いてくる典弘。

ちょっと痛々しいくらいだ。

「あなたは私が一番嫌な事をしたじゃない。」

私は涙声。

それが伝わってないと良いけど。

「もっとお互いを知ってからって言ってたよな。その中には当然、親の事も含まれているよな。分かっていたつもりなんだ。でも…。」
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