私の仕事と結婚
「今日、施主のお宅に伺う件だが、18時からの予定が20時からになった。大丈夫か?」

それでは今日何時に退社できるか分からない。

でも仕事だし。

「はい、分かりました。色見本一式持って行った方が良いですね。」

「ああ、よろしく。」

昼休みに、久しぶりに典弘にラインを送った。

-今日仕事がかなり遅くなりそうなの。出来れば違う日に変更してほしい。-

昼からも1件業者さんとの打ち合わせが有ったため、ラインの返事は確認できずに仕事を始めた。

19時過ぎ、横山さんと連れ立って会社を出た。

チラッと見たラインには着信の知らせはない。

「桜井、予定通り退職するなら、そろそろ仕事の引継ぎの為、上の方に報告しなくて良いのか?」

「あっ。」

私は思っても居ない横山さんの問いかけに、戸惑ってしまった。

「まだはっきりしないんですけど、多分結婚はなくなると思います。だから転職なんてとても出来ないので、このまま残りたいです。」
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