私の仕事と結婚
私の話を聞く横山さんは驚く様子もない。

「桜井、本当にこれで良いの?」

横山さんの耳には、典弘のお兄さんから連絡でも入っているんだろうか。

「俺には、桜井がとても無理をしているように見える。そんな状態で、仕事をしていても楽しいか?」

私は横山さんの顔を見つめる。

「そんな状態での接客は施主にとても失礼だと思うぞ。」

「…すいません。」

慌てて私は頭を下げた。

きっとずっと私の様子を見ていて、言いたかったのを我慢してくれていたのだろう。

「でもな、そんな状態の桜井に手伝ってもらわないと、俺の仕事が進まないのも正直な話なんだ。野崎さんは普段の生活でも、もう桜井が居ないと前に進まないんじゃないのか?」

もう一度私は横山さんの顔を見た。

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