私の仕事と結婚
「あっ。」

初めて待ち伏せされた場所に人影がある。

「歩夢。」

典弘も私に気が付いたようだ。

「遅くなるって言ったじゃない。何してるのよ。」

私は思わず、大声で叫んでしまった。

「今日じゃなきゃダメだと思ったんだ。歩夢の事ならいくらでも待てる。もう4年も待ったんだから。でもこの3か月は長くて長くて…、気が狂いそうだった。」

「私が直帰したらどうするつもりだったの?」

「待っている事しか考えてなかった。」

「もう…。」

呆れた様な私の声にスイッチが入ったかのように、私達はどちらからともなく、抱き合っていた。

少しやつれた顔に無精ひげ。

確かにお兄さんが言う様に、ひどい有様だ。
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