私の仕事と結婚
駐車場に着くと、典弘は慌てて車を降りて、助手席へやってきた。

「お願いだから、もう逃げないでくれ。あれはメンタルをかなりやられる。」

そう言って私の手を引いて、かなり強引に引っ張って行った。

まるでもう逃がさないというかのように。

久しぶりの典弘の部屋で、とても懐かしい気がした。

「コーヒー入れるよ。」

典弘は笑う。

二人で揃えたマグカップを両手に、典弘はソファに座った。

「ありがとう。」

私は典弘からコーヒーを受け取って、一口飲んだ。

「改めて言わせてもらうよ。歩夢、俺と結婚して下さい。」

深々と頭を下げる典弘。

「よろしくお願いします。」

私も慌てて、頭を下げる。

典弘の動く気配を感じたと思ったら、私は典弘にお姫様抱っこをされていた。
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