私の仕事と結婚
「壁紙の見本を貸してくれ。施主が前もって確認したいらしい。」

「もし施主さんが時間を取ってくれるのなら、説明しに同行しますが。」

「そうだな。一度連絡を取って、その時に他の見本も持って行こうか。」

横山さんは時間の使い方が本当に上手だ。

次の事を前倒しして考えている。

「じゃあ、会議室へ。」

会議室でその点も含め、その他の施主についての打ち合わせも終える。

すると横山さんが意外な事を聞いてきた。

「そういえば、こないだ来た野崎さんどう思った?」

「えっ?ユニットバス会社のですか?」

「何で発注の仕事をしているんだろう?なかなかキレる男だと思わなかったか?」

「いや、特に何も感じなかったんですけど。」

私は先日の事を思う出してみる。

「あれから野崎さんの上司とばったり会ってな。かなり良い大学を出て出世頭らしいんだが、あの部署に固執しているらしい。 営業に回せば、恐らくトップセールスマンになるだろうと言われているらしいんだが。」
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