私の仕事と結婚
「俺、ちゃんと伝えましたよね。嫌ならそこで断るべきです。」

きっぱりと言う野崎さん。

「あの…、返事する間なんてなかったと思うんですけど。」

「俺だって一応緊張してたんで。」

とっても照れくさそうに、でも硬い表情を崩さない野崎さん。

「とにかく飯でも食べに行きましょう。」

強引に手をつながれ、引きずられるように付いていくしかない私。

そのまま入ったのは、ちょっとおしゃれな居酒屋さん。

「典弘(のりひろ)、いらっしゃい。」

店長さんらしい人に野崎さんは話しかけられている。

私が不思議そうな顔をして、その様子を眺めていた。

「女連れなんて珍しいな。俺、ここの店長の山田です。」

店長さんは私に挨拶してくれた。

そして野崎さんの様子を見ると、くすっと笑う。

「もしかしてこの人が桜井さん?」
< 28 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop