私の仕事と結婚

「なぜ私はあなたにここへ連れられて来てるんでしょうか？」

一瞬驚いた表情を見せた野崎さん。

でも私を見て優しく微笑む。

「あなたに興味があるから、あなたをもっと知りたいと思って。」

はっきりと野崎さんは答える。

びっくりして声が出ない私に

「いけませんか？」と少し顔を赤らめた。

「まずは声に、…というよりその頭の回転の速い電話対応に引かれました。そして現場での的確な仕事ぶりに。」

「私を現場で見たんですか？」

「はい、納入日には必ず現場に確認に見えますよね？その確認に来られそうな時間帯を狙って、車から見てました。まあ、その納入の確認も俺の仕事ですから。多分、いつも電話で話す雰囲気からその人が桜井さんだとは確信していたのですが、　どうしても電話の声の人だと確認したかったために、こないだ御社に初めてお邪魔しました。」

そういえば、やっぱり…ってなんか言ってたな。

でもそんなに現場で何回か見かけていたのなら、声をかけてくれても良かったのに。