私の仕事と結婚
「すいません。」

店長の前で言い合いになってもいけないので、ここはすんなり好意に甘えよう。

「典弘、ちゃんと送り届けろよ。また桜井さん来て下さいね。」

「本当においしかったです。こちらこそまたお邪魔させて下さいね。」

私が店長に頭を下げると、店を出ようとしている野崎さんの後をついて行った。

しばらく無言で歩いていると

「でも本当にすいません。実は俺も時間を忘れてしゃべってしまいました。本当に楽しかった。また会ってくれますよね?」

野崎さんが立ち止った。

確かに居心地が良かった。

この人と私は間違いなく人間的に相性が良いと思う。

「良ければ桜井さんの連絡先を教えてもらえませんか?このままならまたあなたの連絡をずっと待たなきゃならなくなる。」

意地悪そうに笑う野崎さん。

私達はスマホを突き合わせる。

私も野崎さんの連絡先を登録すると、野崎さんは怪訝な顔をした。
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