夏影
〈カッコいい人だな〉


千影はそう思いつつ、睨み付けてくる北野ミカたちへチラリと怯えた視線を向けた。


そんな様子を見ながら、勇人が口を開いた。


「初めまして。3年の沢井勇人です。篠崎さんは、お父さんから何か聞いてる?」


千影はキョトンとした。


〈お父さん??どういうこと?〉


「いえ、何も………何の事ですか?」


勇人はウンウンとうなずきながら、


「そーなんだ。娘には言いにくいのかもね」


「あの、どういうことですか!?」


しびれを切らした千影に勇人はニッコリと笑った。


「俺たち、兄妹になるんだよ」
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