夏影
グループのリーダー、北野ミカが言う。

「とにかくね、森田くんにコクられたからって調子に乗るんじゃないわよ」

他の3人も続いた。

「そうよ、あんたみたいなブス!誰も好きになんかならないから、勘違いしないで!」

「森田くんも誰かと間違えたんじゃないの?」

「あり得る~」

クスクス笑っている。


尻餅をついたまま座り込む千影の前に、北野ミカがしゃがみこんだ。


手で千影の髪をグッと掴み、顔をあげさせる。


「勇人センパイがいない今、あんたの味方はだぁれもいないのよ」


そう囁いた。


知ってる。知ってるよ。
あたしが1人なことくらい。
だけどそれが平気な訳じゃない。


千影はミカを睨んだ。


「何、その目は」


ミカが立ち上がったその時。
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