夏影
お風呂から出ると、千影は自室へ入った。


ベッドに座り、今日の出来事を思い返す。


兄の帰省。進路相談。裏庭への呼び出し。


竹本先生………


そこへコンコンとドアをノックする音がした。


〈来た〉


「はい」


返事をすると、ドアが開いた。


勇人が入って来る。


「手、大丈夫か?」


千影は右手を見た。


「うん……ホントにちょっと擦りむいたくらいだから」


「ふうん。ならいいけど」


勇人はドアをきっちりと閉めると、千影の横へ座った。


「風呂、入ったんだ?」


「……うん」


「パジャマ、着なくて良かったのに。どうせ脱ぐのに」


そう言うと、勇人は千影のパジャマのボタンを外し始めた。
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