夏影
千影はホッと息をついた。


「あるよ。持ってくるね」


机へ引き返し、英和辞書を手に取る。


〈やっぱりね!こんなことだと思った。お兄ちゃんが変な気、起こすわけないもん。あたしも大概、自意識過剰だな〉


そう思いながら振り返ると、勇人の唇が千影の唇を塞いでいた。
< 24 / 32 >

この作品をシェア

pagetop