夏影
バサッと手に持っていた英和辞書が落ちた。


千影は何が起きているのか、分からなかった。


〈え……何これ…?〉


何かが唇を塞いでいる。


やがてそれが離れた。


「お兄ちゃん……」


勇人の顔が、目の前にあった。


再度、千影の唇を求めてくる。


「……いや!」
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