9歳差は、アリですか?
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立原は思わず、浅岡と来たカフェに入り、いつもの席に座ってしまった。しかし一人で座るのは浅岡と座っていた時と全く違って恐ろしく寂しかった。もうすぐ新幹線の時間ということで笹山が迎えに来てくれたが、複雑だ。もう少し居たかったような、助かったような。ホームに連れられたが、そうとは知らないで当の本人は隣で電話をしている。
口調からプライベートの電話のようだが、盗み聞きは本意でないため、少し笹山と間を取った。

手持ち無沙汰でぼんやりとしていたが電話と言えば浅岡が浮かんで来た。立原はあまり電話とかメールなどマメな方ではなかったが(面倒くさいため)、浅岡と付き合ってから珍しく頻繁にやり取りをしていて毎日のように連絡があった。しかし、今は浅岡の声を2か月も聞いていないで寂しく、浅岡が立原の中でかなり大きくしめていることに気づく。別れて余計好きになってしまったのだから、つくづく変態な気すらする。

ため息を自分につきつつなったベルで顔を上げた。今から再び笹山と隣で数時間耐えなくてはいけないのだろう。昨日の今日でだいぶ気まずくもある。
指定された席に笹山と隣同士で座ったが、なんだか笹山が凄く立原を見ている気がして、余計顔を外に向けた。

「立原さん」

反応するのが面倒くさかったが渋々の体で少し内側を向く。

「相っ変わらず、愛想ないし、無表情だね」
「何か?そんな事言って治るならとっくに治ってます」
「まあまあ、それ別本題じゃないから突っかんなくていいよ。で、一つ質問したかったんだけどいい?」

ニコニコと何考えているのかさっぱりで、余計立原は表情を無にした。
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