9歳差は、アリですか?
「質問ですか。私で答えられるものでしたら」

ふうーん、と何やらからかう視線で立原を見てくる。なんなのか本当に読めない。どんな質問してくるのかと身構えた。

「浅岡悠、って…知ってる?」

身構えていたはずなのにとんでもな、予想だにしなかった豪速球が飛んできて、立原の脳は完全にフリーズした。

知ってますとも、あたしの彼氏でしたもの。2か月前勝手な理由で振りましたが、今現在進行で好きな人で、あたしの脳内のほとんどを占めている人ですけど何か。

って言える訳がない。しかし、笹山がなぜ、浅岡を知っているのか見当もつかない。無を忘れて、笹山を凝視した。

「その顔、もう答え出ちゃってるけど、一応直接聞きたいな、知ってるか知ってないか」
「ーーー答えたところで、あたしに何のメリットもないですよね?」
「そんな事ないよ。答えてくれたら、そうだなあ、昨日の事謝って、なかったことにする」

昨日の事とは、多分勝手に抱きしめて告白した事だろう。これがメリットかどうか分からないが、謝られるのはいいとしても、撤回するのは笹山の方が都合いい気がする。しかし、知ってるか知ってないかの話だ。嘘つく理由もないので、立原はわざとため息をついた。
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