9歳差は、アリですか?
「で、悠くんじゃダメ?」

少し可愛く聞いてみる。オリジナル感を出せば浅岡も承諾するかと思ったのだが、正直なところ呼び捨ては抵抗がかなりあっていちいち緊張してしまうためくん付けにしたいのだ。

「…涼子、だけだからな」

少々の間があってから渋々の体で案の定承諾してくれた。本当は嬉しいのが見え見えで可愛らしい。

「付け合わせできたよ。悠くんもできたね」

わざと悠くんというところを強調して浅岡のフライパンを覗き込む。照り焼きもいい感じになっている。狭い台所の入り口を抜けて、リビングの座卓に料理を並べた。なんだか恋人感が出てドキドキする。今までの彼氏とは違って家に来てくれるのが日課になってきて、凄く嬉しい。
立原は楽しくて料理を真剣に運ぶ浅岡を見て微笑した。

「本当上手くなったよね。前はカマボコすら切れなかったのに」
「まあね。好きな人のためだったら俺もやればできるんだよ」

無意識なのか時々さらりと好きとか言ってくるのが心臓に悪い。変な心拍数になって息が苦しいのに心地よくてわからなくなるのだ。そういう時に限って大人っぽい表情になってドキドキが止まらないから嫌になる。まるで立原だけが揺れているようで。
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