9歳差は、アリですか?
食事が終わるといつものように真面目に勉強を始める。ここには一切の恋愛感情もなく、全く甘い雰囲気にならない。

「ここの部分積分が何度やっても解けなくて…」
「あたしもそこまで微積は得意じゃなかったんだけどね、多分こっちの式でやってみるといいかもよ」

などとしっかり目に家庭教師をこなして一段落すると、お茶に入る。適当なスナック菓子がほとんどだが今日も例外なくスーパーで購入したお手頃価格のクッキーだ。それを二人でちびちび食べながらなんとなく会話する。
しかし今日は浅岡の様子がおかしい。そわそわしているようで自覚はないだろうが、落ち着きがない。勉強中も時々上の空だったりして珍しいので、不思議に思い覗き込むが目をあからさまに逸らして、余計変だ。

「なんか、悠くんさっきから変」

立原は無自覚の直球を投げ込むが、浅岡はもろに目を泳がす。夕飯の時はいつも通りだったはずだが、どうしたのだろうかと浅岡の顔を覗き込んだ。

「悠くんどうしたの、本当に。体調悪い?」
「いや、違っ。ーーーその、涼子に聞きたい事があって…」
「なんか他にも分からないところあった?」
「そうじゃなくて…」

言葉を探す浅岡を立原はじっと待つ。
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