9歳差は、アリですか？
先輩から指摘され立原はぐっと押し黙った。気まずくて目を泳がす。

そりゃあ、大好きな恋人から初デートのお誘いを受けたら上の空にもなるよ。とは死んでも同僚に言える訳がない。

しかしそれがバレないように急いでパソコンに向き直った。切り替えて仕事に集中しようと思うが、隣から未だに先輩の視線を感じとてもじゃないが平静でいられない。

「もしかして、この前言ってた彼氏絡み？そんだけふわふわしてるってこたあ、なんかいい事あったなコノヤロ！俺なんか毎日嫁さんに愚痴られてるってのによ。ああー、わっかいなあ」
「先輩、うるさいです。何か悪いですか？彼氏絡みで」
「おお珍しい、立原が開き直るなんて」
「ただ、周りには言いふらさないで下さいよ」

軽く睨むが、嬉しいのは事実なのでそこまで強くない。仕事帰りのデートはたまにあるが、なんたって、待ち合わせをしての丸一日外デートなど初めてなのだ。カフェに初めて誘わてた時も初デートだとすごく嬉しかったが今回はそれよりも気持ちが高揚する。
立原はだいぶパーマっ気の落ちた毛先をいじりながら先輩に分からないようにひとりごちた。
そこでふと顔を上げる。今までの彼氏には感じたことのない感情が湧いてきた。
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