9歳差は、アリですか?
「綺麗。本当に」
「ーーーありがとう。は、初デートだもの、あたしだって気合い入るしっ」

照れ隠しで少し冷たく返した。

「ねえ、聞いてもいい?俺、自惚れかもしれないけど、その髪型…、俺のため?」

ずっと気になっていたことだ。駅で見たときから服装だけでなく、緩くかかったパーマの揺れる髪にもドキドキしていた。デートに誘った日には無かったパーマに少し自意識過剰かもしれないが、嬉しくて見惚れた。

「パーマかかってて、涼子にすごく似合ってる。電車の中でいつ言おうかって考えてたくらい。ーーーーねえ、俺のため?」
「ーーーばかっ、そんなの。…他に誰のためにかけるのよ、パーマなんて」
「わかんないそれじゃ。ちゃんと言って…?」

分かってて行っているあたり憎たらしいが、今日はせめて今日だけは、素直になると決めたのだ。高鳴る鼓動をさらけ出すように、浅岡の胸に埋めていた顔を上げて目をじっと見つめる。

「だって初デートよ?す、好きな人には綺麗って思われたいもの。だから…、悠くんのために久しぶりにパーマかけてみた。ーー変?」
「変なわけないだろ!…ずっとドキドキが止まらないくらい、涼子綺麗すぎて俺どうしたらいいかわからない」

浅岡の抱きしめる力が強まる。それが嬉しくて、ずっとその中に居たくて立原は浅岡の背中に腕を回した。
< 156 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop