9歳差は、アリですか?
「割安酒呑みだと思えば平気。それに今は、…なんかどうでもよくなっちゃったから」

心配そうに同僚が立原の事を見るが、それに気付かないフリして立原はさっさと、先程飛び出した居酒屋に向かった。



「カンパーイ!」

「彼女、名前なんていうの?」

「超美人じゃね?」

「へえ、テレビ局の人なんだー」

なんだが男共が煩く色々聞いてくるが、立原は全て無視でひたすらアルコールを摂取というか胃に流し込む。
その様子を同僚が心配そうに見つめるのにも、気づいてはいたがスルーだ。

とにかく、虚しいが呑んで忘れてしまいたかった。浅岡の事も、連れてた彼女のことも、浅岡の事が好きだった自分の事も忘れてしまいたかった。
ーーー嘘。「好きだった」なんて、今でも好きなのに。

完全にヤケで飲んでいると周りも分かっているのか、だんだん立原を遠巻きに見るようになった。

「すみません、生2つ!」

勝手に頼み、立原一人合コンノリではないが、周りも諦めたのか、立原抜きで合コンを始めた。
その間も、直ぐにきた生ビールを一気に煽り、居酒屋でやさぐれるの図が出来上がっていく。

好きなの好きなの好きなの、悠くんが好きなの。

浅岡を信じていないという訳ではなかった。9歳も離れている事に気が引けて、自分に自信がなかったのだ。だから浅岡も立原ではなく、もっと素直でもっと可愛らしい同世代の子に行ったのだろう。
つまり、自業自得なのだ。
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