9歳差は、アリですか?
さすがに久しぶりで呑みすぎたのか、頭がグラングランする。それに気づいた同僚が、すぐさま帰るよう指示してきて、立原はよれよれしつつ居酒屋を出た。

「あああ…、気分悪っ」

浅岡が未成年というのを気にして、最近あまりアルコールを摂取していなかったせいか、酒には強い方だったはずだが、今では足元がおぼつかない。
それは久しぶりといえど結構呑んだからだが、駅で酔い冷ましに水を買い、電車に乗った。

悠くん、今頃なにしてんのかな。可愛い彼女とご飯でも食べてるのか。しかも、あたしなんかみたいななんちゃってじゃなくて、愛嬌のある料理上手な彼女でそれで、悠くんの家で一緒に作ってあげたりして。

忘れるとか思いながら、酔ってるせいか、気づくと浅岡の事が思い浮かび、一緒に歩いていた名前も知らない可愛い彼女に嫉妬が湧いてくる。
嫉妬というと、イライラするのかと思っていたが、そうではない。自分の方が負けていると分かっているからこそ、涙が出てくるのだ。思った以上に浅岡の事が好きで、思った以上に辛い。いつかそうなるかも、と予想はしていたが、いざその場に出くわすと、だいぶダメージが大きかった。

ああ、なんでこんなに好きになっちゃったの。毎回のように素直になろう素直になろうっと言いながら、一時的なものだけで全く変われない。
そうだから、立原は振られたのだ。
< 180 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop