9歳差は、アリですか?
ダメな訳…、ないでしょバカ。

もう無理だ。どれだけ浅岡はバカなのか。立原は「バカ」と浅岡に短く叫んでから制服のネクタイを引っ張り「歯磨きまだだけどいいね」と返事を聞かずに、いつの間にか立原を抜いた背を縮めるため、ぐっとそのまま下をむかした。

そして、唇がゆっくり触れる。

時間が止まったようだったが、触れるだけのキスは心地よかった。

「今、返事聞いてもいいんじゃないの?」
「え、」

浅岡の顔を見ないように素っ気なく言う。浅岡は困惑して言われるがまま口にした。

「涼子さん、俺と…付き合って…?」
「なんで疑問形よ。ーーー別にお互い知るのは、付き合ってからでも遅くないでしょ。まあ、悠くんがあたしを警察に突き出さない限りは」
「涼子さん…?え、本当に?なんで?」
「ーーーなんとなく、もういいでしょ。遅いから帰るよ、駅まで送ってく」

素直になるのはもう少し時間がかかりそうである。しかし、多分通じた筈だ。

「着替えるからちょっと待ってて」

一方的に告げ、立原は寝室に入る。

「やばかったー…。心臓もたない、あんなカッコ良かったら」

壁にもたれ深呼吸する。同じく壁越しに浅岡も顔を真っ赤にしていた。

「嘘…?じゃないよね。ーーーやばい、」

嬉しすぎて、死んでしまいそうなくらいだった、立原も浅岡もお互い。
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