9歳差は、アリですか?
一通り買い終わると、デザートの特訓には間に合わなかったので、ケーキ屋で立原が好きそうな(イメージからの予想だ)ケーキを買い、立原のマンションまでゆっくりと歩いて行く。
まだ立原が帰ってくるまで2時間程ある。余裕を持って作れるため、気持ち的に楽だ。何せ、カマボコすらろくに切れない料理下手、というか包丁持ったこともない生粋の手伝いしない系男子である。いくら2週間練習したとはいえ、不安しか残らない。気持ちだけは人一倍なのだが。

✳︎

そうとは知らず、立原の方は再びピンチが降りかかっていた。

「ちょっと待って下さい、あたし今日5時半終業なんですけど。この前残業したじゃないですか!無理ですよ、7時半までとか、あたし用事あるんですよ?」
「立原頼む!今日結婚記念日つうことすっかり忘れてたんだよ。遅くなったら俺殺されちゃう」
「無理です。この前同窓会とかで変わってあげましたよね?しかも、あたしの本業じゃないですし」

折角合コンを切り抜けたのに、残業に引っかかりそうで、今日はとことん付いていない。
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