9歳差は、アリですか?
「あ、ここ、」
「涼子さんちの近くにあったケーキ屋さんで、好みとか分かんなかったからなんとなくイメージで買ってきたんですけど」

嬉しい…!あたしのために?とストレートに言えないのが嫌になるが、立原はこのケーキ屋が本当に好きで、特にブルーベリータルトが好物である。
少し期待して、箱を開ける浅岡の手元を見る。

「あっ、タルト…」
「イメージで涼子さん、タルト系かなぁと思って。その中でもブルーベリーのやつが綺麗だったから…、どうです?」

めっちゃ好きっす。
本音が漏れそうになるが、ぐっとこらえる。あたしは悠くんの恋人である以前に、悠くんより9つも上の大人だ。しっかりしなくてはいけない、だからデレない。
立原は自分に言い聞かせてから、浅岡に大人として笑いかけた。

「悠くんありがとう。あたしこれ好きなんだ。よくわかったね。嬉しい」

親が子供からのプレゼントに対してするコメントを意識する。恋人としてお礼を言いたいのをぐっと我慢して、親のような目線で笑った。

「本当に⁉︎良かったー」

ほっとする浅岡を見て、抱きしめたくなる。キスだってしたくなる。
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